フォントひとつでデザインも変わる
仕事などで資料作成する際に行うフォントの変更。
今となってはみなさんにとっては当たり前のことかと思います。
フォントを変えただけで見栄えが変わって
『お?いい感じじゃん?』
となること、結構多いと思います。
そんな身近なフォント。実はかなり奥が深いことをご存じですか?
今回はそんなお話しをしてみたいと思います。
フォントを作るって実は相当大変
実はフォントというのは作るのは非常に大変です。
簡単に説明しますと1文字ずつ丁寧にデータ化していく必要があると言うこと。
作られている方のほとんどはその作業を地道に行っています。
これ、英字だったら大文字・小文字・数字と記号でだいたい100文字程度ですのでそこまで大変ではありませんが、日本語フォントだとそうはいきません。
日本語でも 大文字・小文字・数字と記号 は使いますよね。 ですがそこに半角・全角の区別が発生します。あ、記号には日本独自の記号も存在しましたね。 さらにひらがな・カタカナ・漢字が含まれます。
・・・そう、漢字。
漢字がフォント作成の負荷を高めています。
漢字にはJISによって区分があるんですけど・・・
漢字にはJIS第1水準からJIS第4水準まで区分されているんですけど・・・
JIS第1水準だけで2965文字あります。
しかもそれだけでは一般的な文章を入力するには足りません。
せめて JIS第2水準もある程度は対応して欲しいところです。
その JIS第2水準が3390文字です。
これでやっと一般的な文章の大半に対応出来るようになりました。
しかし世の中地名や名前などで難しい漢字を使うこともあります。
そのあたりまで考慮していくと結果的に
約7000文字
・・・これだけ用意してやっと実用レベルというのが日本語フォントなんです。
しかもこれで最低限。
JIS第4水準 まで含めると約1万文字以上。
しかしそれでも日本で使われる全ての漢字は網羅されません。
世の中で最も収録数の多い日本語フォントが情報処理推進機構(IPA)が公開したもので
その数なんと6万文字!
・・・それでも世の中で使用される漢字全てを網羅しきっていないと言うんですから恐ろしい話です。
さあみなさん、
そんなフォントを自分で作ってみたいと思いますか?
私は嫌です!絶対にやりたくありません!!
そのコストは当然販売価格に反映してくる
もちろん、全てを手作業でやるというのは効率も悪い話ですので、専門業者さんは様々な開発ツールを駆使して作成されています。しかしそういったツールも日本独自の文化に合わせて各社オリジナルの開発環境を作っているわけです。
当然莫大な開発費用がかかっているはずです。
とにかく手間と時間がかかる作業。それが日本語フォントなんです。
そういったコストが価格に反映するので英字よりもはるかに販売価格が高いわけです。
え?そんなもん払ったことないけど?何言ってるの?
そうなんです。大半の方はそういった経験は無いと思います。
その理由は簡単です。
パソコンに最初から入っているフォントだけを使用しているから
会社で使用するパソコン、一般的にはWindowsパソコンでしょう。
その中には最初からすでに数十種類のフォントがプリインストールされています。
それで十分なのであれば基本的に追加購入の必要はありません。
だからフォントが有償だとか著作権だとかが見えてこないんですよね。
ほんとは怖いフォントの話
基本的にフォントは有償です。
ですが中には趣味やその他の目的などがあって無料となっているフォントもあります。
いや、マジメにあなた神ですか!?
だってあんな大変な作業を経て世に送り出すフォントを無料って
絶対頭オカ・・・いや神以外の何者でも無いでしょ!!
ですがそういった無料やプリインストールされたフォントを
自由に使える!
・・・なんて思ってはいけません。
そこには利用規約や使用可能範囲と言うものがしっかりと存在していたりします。
Windows標準のフォントもよくよく確認すると、使用可能範囲が
WindowsとOfficeなどMicrosoft製品を使用して印刷したものに限る
なんて制約がひょっこり入っていたりするフォントも存在します。
(しかも大体の場合規約は英語・・・)
それを確認しないで逸脱した使用をした場合、当然ですが
訴えられます
そりゃ当然です。作成した方もフォント業界のデザイナーさんです。
相当苦労して作った作品と何ら変わりありません。
不正に利用されてしまってはたまったものではありません。
実際に不正利用にかなり厳しい対応をされるフォントメーカーさんも実際にいらっしゃいます。
バレないでしょ。と言うのも今の時代ありえません。
時間がかかっても最後には必ずバレます。実際にバレています。
実際のところどれくらいかかるものなの?
はっきり言ってピンキリです。
が、ここで気をつけたいのは利用方法です。
印刷物などで使用する場合はこの金額だけど、動画などで使用する場合は3倍ね
といった利用用途によって価格が変わるケースが想像以上に多く存在します。
また、ロゴで使用するのは『NG』ですとか改変不可と言った条件も多々あります。
その管理をしっかりとしながらデザインをしていくって・・・難しいと思いませんか?
はい。実際に管理めちゃくちゃ大変です。
ですがそれは守るしかありません。うっかりは理由になりません。
それに途中で規約が変わることもあります。
よって『デザインする』という度に規約を確認し直すことも必要です。
ほんとに大変です。でも
デザイナーは当たり前にやっています。
・・・訴えられるの嫌ですもん。
それにそこを越えなきゃお仕事完遂できないんですからやるしかありません。
デザイナーに任せてリスクも回避
もちろん社内でデザイナーを抱えてやっていこうとするのであれば会社としても避けて通ることができない道です。
ですがそうでないのであればそういった面倒ごとは、慣れている人に任せたほうが圧倒的に楽です。
デザイナーはそういった部分、相当に神経質にやっています。
なのでお任せするのもひとつの手段です。
デザイナーが契約を結んでいるフォント群からきっといい感じに仕上げてくれるでしょう。
意外にも落とし穴の多いフォントの世界。
みなさんも利用する際には十分に注意して利用されることをお勧めします。
分からなければデザイナーに相談してみるのもおすすめです。