そもそもペンタブレットを使う人ってどんな人?
ペンタブレット。 恐らくデザイン関連の方なら大半の方が知ってると思いますし、使ってもいるでしょう。
なぜペンタブレットを使うのでしょうか?
当然、マウスでは作業しづらいからですよね。
ペンで細かく作業できるペンタブレットはやっぱりデザインに携わる人にとって、もはや必需品とも言えるツールなのです。
ペンタブレットの種類
ペンタブレットには大きく分けて2種類の方式があります。
液タブ
液タブとは『液晶タブレット』のこと。おそらく最近「お絵かき」に興味を持っている方のほとんどはこの『液タブ』に憧れていると思います。
特徴
液タブの特徴はやっぱり液晶画面に直接書き込むことができるために紙に書く感覚に近いスタイルで作業ができることが最大のメリットと言えるでしょう。
しかし液晶画面に直接書きこめるようにするにはいろいろな装置を液晶画面に搭載しなければいけません。
そのため通常のモニターよりもはるかに高価でなかなか手を出しにくいことが『液タブ』の痛いところと言えるでしょう。
また、ガラス面に直接書き込めると言っても、描画される場所はガラスの先の液晶部分。そのためどうしてもズレが起きてしまうと言った特有の問題があったり、画面に指紋汚れがつきやすい、機種によってはガラス面が熱を持つなどの問題もあります。
機種によってはOS搭載モデルもあります。(iPadが最も有名!)
デメリットとして代表的なものとしてはやはり価格の高さを指摘される方が多いですね。
あとはケーブルがごちゃついてしまって取り回ししにくいなどといった声もよく聞きます。
板タブ
長年、『タブレットと言ったらこれ!』だった代表的な入力デバイス。それが『板タブ』です。
その歴史は非常に長く、パソコンに液晶モニターが導入されるもっと前。なんとブラウン管の時代から存在しています。
昔は今みたいに高性能なタッチパネルはおろか液晶モニターなんてものもありませんでした。
なので画面に直接書くことなんて夢のまた夢のお話。 なのでマウスと同じ感覚で描くことができる専用のペン入力ツールを用意しちゃったんですね。それが『板タブ』です。
特徴
スタイル的な部分で言えば画面に直接書き込むスタイルではなく、離れたところで操作をすることが大きな特徴です。
そのため慣れるのに時間がかかると言われています。
しかし一方で離れたところで操作が出来るためにペンを持った自分の手が邪魔にならないといったことも特徴ですね。
なによりも長年販売され続けているツールなので『液タブ』よりも圧倒的に価格が安いことも特徴です。
直感的に描ける『液タブ』に勝る物なし?
板タブなんて旧世代の遺産じゃん
だなんて思うなかれ。たしかにモニターに直接かけない、つまりは絵(モニター)とペン先が離れているために慣れが必要です。この慣れの時間をもどかしく感じてしまい『私には合わない!』と感じてしまう方がいるのは事実です。
が、イラストレーターさんはともかく、デザインを専攻している方は板タブユーザーの方が多い印象があります。
これは、『板タブ』の離れたところで操作をすると言う部分。 一見するとデメリットのようにしか思えないかもしれません。
しかし実際、慣れてしまうと紙や画面に向かって描く行為に比べて腰が曲がらずに作業が可能というメリットが生まれます。
身体への負担というのは無視できるものではありません。
若いうちは良いかもしれませんが、長く続けていくと小さな疲労やダメージの蓄積によって最終的には身体を壊してしまう。
そうやって引退してしまったクリエイターさんも現実には多くいます。
『液タブ』はどうしても画面との距離が近づきます。 近づくと言うことは腰も曲がると言うこと。
なんとか改善しようにも大きな筐体を最適環境にするのはなかなか難しいです。
操作は直感的かもしれませんが、犠牲にしなければならないことも多いのです。
デザイン会社の現場は?
実際のデザイン会社ではどちらが多く使われているでしょう?
デザイン会社全体で見ると、これまでの経験上『板タブ』が優勢だと思います。
これは会社という組織である以上、コスト優先の結果でもあるかと思います。
『自己責任であれば、自前で持ってくるのは構わない』と言う話もよく聞きます。
とはいえ、最近はデザイン会社の中でもゲームのキャラクターデザインなどを行っている会社などでは、だんだんと『液タブ』が増えてきているようです。
ただ、新人さんに支給されるPC環境は基本的には誰か先輩社員のお下がりだったりすることが多く、新規導入でないこともしばしば。 なのでやっぱり新人の間は『板タブ』となることもあるようです。
結局『液タブ』『板タブ』どっちがいいの?
あくまでamuseplanet的なお話になってしまいますが、私たちはやはり『板タブ』を最大推しとしたいです。
それは以下の理由からです。
- 圧倒的に価格が安くて導入しやすい
- プロの現場では『板タブ』の利用率が高い
- 慣れが必要なのだから時間のあるうちに『板タブ』に慣れるべき
- 身体的負担などの観点
やはり『安い』は正義です。『液タブ』直感的に使えて使いやすいことから初心者にとっての憧れだとは思いますが、如何せん価格が初心者向けではありません。 PCだってそれなりの性能が必要ですし、ソフトウェアだって買わなきゃいけません。
『液タブ』に予算つぎ込んでしまった結果、PCが低スペックになってしまっては本末転倒です。
「タブレットとPC、どっちに予算つぎ込みますか?」
と問われたら、私だったら間違いなくPCを優先させます。
『板タブ』は慣れるまで時間がかかると言うのであれば、なおのこと時間があるうちに慣れておくべきです。
現場に出てから向き合うことになると、『板タブ』に慣れていきながら仕事をこなすことになってしまいます。
慣れるまでは生産性も下がるでしょう。 目標の時間で作業が終わらないこともあるはずです。
でも仕事は待ってくれません。 本当に苦労すると思います。
逆に『液タブ』は直感的に使えるのが特徴です。
『板タブ』が使えるのであれば『液タブ』が使えないと言うことは無いはずです。
『液タブ』はどんな人に向くの?
じゃあ『液タブ』ってどんな人に向いてるの?
あくまでも私の個人的見解となりますので全ての人に当てはまるわけではありませんが・・・
芸術寄り思考で描く人は『液タブ』の適性がある
と思います。
ここで言う芸術というのは描き方のスタイルのお話。
具体的にはCLIP STUDIO PAINT(クリスタ)やPhotoshop、又はそれらに近いソフトウェアで絵を描いている方は液タブでも良いかなーと思います。
それほとんどじゃないか!
そうですね。 日本の絵師さんの大半は『液タブ』に適性はあると思います。
なぜならラスターデータ(ペイント系ソフトウェア)で絵を描くスタイルはアナログで絵を描くスタイルに似ているからです。 だったらキャンバスに絵を描く感覚で画面に直接描きこめる『液タブ』は、よりスタイルを似せることができるので向いていると言えます。
そうじゃない人もいる
ペイント系ソフト以外でも絵を描けるの?
はい描けます。
amuseplanetのメンバー『さくらくるみ』はIllustratorで絵を描きます。
ベクターデータ(DRAW系ソフトウェア)です。ベクターデータはどれだけ画像を拡大・縮小させても画像が荒れません。
点と点の位置を数値で表現してその中間はソフトウェアが自動で補完してくれるからです。
当然補完してもらうためには調整が必要です。 ペイント系ソフトウェアのように塗るだけ、描くだけではなくなります。
そういった方には『板タブ』が向いているんじゃないかと思います。
自分の適性を見つけて正しい選択を
このように同じ絵を描く、デザインすると言ってもラスターとベクターという違いがあります。
タブレットを決める前に、自分のお絵かきのスタイルも決める必要もありそうですね。
どちらにしてもPCのスペックも必要になりますし、安い買い物ではありません。
だったらまずは『板タブ』から入って、その分PCのスペックに予算を割いた方が良いかなーと思います。
またどちらのタブレットもいわゆる『格安メーカー』品は色々と問題もあるようです。
いろいろな口コミを見ながら、また可能であればお店で試し書きなどもしてあなたにぴったりの環境を整えていってくださいね。